料理レシピにはケチャップやウスターソースを使ってデミグラスソースを簡単に作る方法が載っていますが今回は真逆、時間と手間が掛かるデミグラスソースをご紹介します
一般的には茶褐色のソース全てを「デミグラスソース」と呼ぶ事が多いですが、「へぇ~ 本当のデミソースはこんなふうに作るんだ」と話のネタにでもしてくださいね
デミソースを1週間かけて作る
デミソースの材料
1 ミルポワ(玉葱・人参・セロリ) 大量
2 牛のげんこつ・牛筋 大量
3 トマトピューレ・トマト 大量
4 フォン・ド・ヴォー・水
5 ルー
1週間もかけて作ると正確な材料の量は分かりません
分量を決めるのは「味見」「香り」「ソースの色」を見て決めます
結局は調理人の《 舌 》それに経験と勘です
デミソースの作り方
※ まず作るのは《ルー》です 材料は小麦粉と同量のバターを使います
フライパンに小麦粉を入れ弱火で炒る様に全体を温めます バターを加えて小麦粉が茶色になるまで炒めます 分量にもよりますが20分位かかります
※ 牛のげんこつ(大腿骨など)は髄が出る様にノコギリで切ります その後オーブンで焼き目をつけます 牛筋はフライパンで炒め同じように焼き目をつけておきます
※ 玉ねぎは皮をむいて半分に、ニンジンは乱切り、セロリは葉の部分も使います
※ 寸胴(大きな鍋)に野菜を移し牛のげんこつ、牛筋も一緒に加えます
※ トマトピューレとトマト(ヘタを取る)を加え、フォン・ド・ヴォー・水を同量入れて、寸胴(鍋)をいっぱいにします
※ 沸騰する直前まで強火でその後は弱火にします 焦げないように常に木べらで混ぜていなければなりません 1日5時間以上煮込みっぱなしです
中身が2/3程度まで減ったら1日目の仕込みは終わりです
エスパニョールソース(Espagnole sauce)の完成
一日中煮込んだソースを裏ごししてトマトソースを加えれば “エスパニョールソース” になります
デミグラスソースはエスパニョールソースを更に煮込んだソースです
デミソースの仕込み2日目から5日目
2日目からは、毎日野菜(玉ねぎ・人参・セロリ)を加えて煮込み始めます
「沸騰する直前まで強火でその後は弱火」は変わりません
セロリはソースの味に癖が出るので控え目ですが玉ねぎ3玉とニンジンは2本は乱切りにして軽く炒めてからソースに加えます
トマトピューレと鶏ガラと野菜で作ったスープを加え寸胴をいっぱいにして全体の量が2/3位になるまで煮込みます
この作業を5日目迄繰り返します
デミソースの仕込み6日目から最終日
6日目にはトマトピューレと鶏がらスープ、水を加えて煮込むだけです
最終日はローリエ(月桂樹の葉)を加えます そこに鶏がらスープとトマトケチャップを入れて半日煮込んで完成です(水は絶対に加えません) トマトケチャップは味を見ながら加えます
肉も野菜も骨さえもなくなっている
これだけの時間をかけると牛筋や野菜はほとんど姿を消しています
牛のげんこつの中身(髄)も無くなっています 残っているのは大きな骨だけです
この後 “シノワ” で濾せば、濃厚で焦げ茶色のデミグラスソースの完成です
レシピには載ってないデミソースの作り方 まとめ
こんなデミソースの作り方は絶対に料理レシピには載っていないでしょう
作る人もいないでしょうけどね
あまりにも時間がかかるので、作っている洋食屋さんも少ないのではないでしょうか
フランスでもフォン・ド・ヴォー(fond de veau)を使ったブラウンソースやブラウンソースにトマトソース(又はピュレ)を加え3時間ほど煮込んだエスパニョールソースが一般的です
昔、手間と時間のかかるデミソースを作る洋食屋さんがあったと言うお話でした
最後まご覧頂いた方々にお礼申し上げます
ちなみに、その洋食屋さんはもう営業していません 私の実家でしたから・・・